魔法少女まどか☆マギカ
まどか☆マギカのコミックス版の3巻を、1週間前ほどに入手して呼んでましたのでご紹介します。
中々良く出来たコミカライズ版です。画も綺麗で、かつ丁寧です。でも、ちょっと頁数が足りない感じがしますね。アニメを見た層が、回想しながら読むことを想定されているのでしょう。恐らく、アニメを見ていない人間にとっては、速過ぎて、かつ簡潔すぎるのでストーリが追いつかないのではないかと思います。この2倍くらいの頁数で書き込めば、充分にボリューム感が出て良いかも、と思いました。
自分としては、作画担当の「ハノカゲ」さん(女性漫画家のようですが)の手による、まどか☆マギカの外伝や、スピンアウト版コミックスも見てみたいので、希望として書いておきます。
この書込みが、芳文社のご担当者の目に触れますように。
以下、三巻のストーリのネタバレです。
魔法少女の友人「鹿目まどか」の死を悼んだ「暁美ほむら」という少女が、「鹿目まどかとの出会いをやり直したい」という願いと共に魔法少女となり、、鹿目まとかを救う道筋を見つけ出そうとする、という話です。三巻では、その過去の繰り返しの時間軸と、現在の時間軸とが、暁美ほむらの視点で描写されています。
しかし、その繰り返しと共に、平行世界(繰り返しの時間軸)の因果線が、現在の時間軸の鹿目まどかに全て連結されてしまい、鹿目まどかは、途方もない魔力係数を持つようになります。それをキュゥべえに指摘され、蒼褪める暁美ほむら。
このキュゥべえとは、いわゆる魔法少女のマスコットキャラクターなのですが、どうやら「ファウスト」に出てくる悪魔「メフィストフェレス」がモデルのようで、見た目の可愛さとは裏腹に、まさに悪魔のような存在として描かれています。
キュゥべえは、頭が良く、しかも、テレパシー能力で魔法少女達と会話ができるのです。人間である自分達の脳内を、どこまで読まれているのか判らない。そんな不気味さが漂うキャラクターです。
キュゥべえはしかも、個体同士でもテレパシーで情報交換が可能で、かつ、全種族で単一の意識を共有しています。よって、1個体を殺されたとしても、「代わりはいくらでもあるけれど、もったいないじゃないか」という認識でしかない。だからこそ、キュゥべえとの契約により、魔法少女となった少女達が、いずれ魔女になって人々に呪いを振りまくという過酷な運命に翻弄されたとしても、何ら動じずに、「どうして今更、たかだか数人の運命だけを特別視できるんだい?」 と、冷たく突き放すように言えるのでしょう。
このあたりは、実に良く練られた設定です。もしかすると、テレパシーによる全種族の単一意識の共有という古典的なSFか何かを下敷きにしているのかもしれません。
そのキュゥべえに対して、鹿目まどかは、「すべての魔女を生まれる前に消し去りたい」という願いによって、現在と過去と未来の全ての魔法少女が魔女になることを抑止し、浄化しきれなくなったソウルジェムは消滅させるという新たなルールを作ります。また、そのルールによって自分自身の魔女化も抑止します。但し、その代償として、鹿目まどかという存在は世界から消滅します。暁美ほむらの記憶を除いて・・・。その暁美ほむらの記憶は、「本当の奇跡」として、物語では描かれています。
このあたりは、数学の証明、あたかも、ゲーテルの不完全性定理の証明を見ているようでした。この設定を導くまでに掛かった時間が、構想の2年間だったのでしょう。このストーリをどうやって導いたのか、虚淵氏にインタビューしてもらいたいものです。
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