生物の設計方針
今日は珍しく、医学・生物学関連の話でも書きます。
或る本を区立図書館で借りて読みました。残念ながら書名は忘れてしまいましたが、記憶にもとづいて簡単に内容を紹介します。
その本には、アロイス・アルツハイマー医師が「アルツハイマー病」を初めて発見した経緯や、アルツハイマー病患者の辿るさまざまな病状や進行、そして、アルツハイマー病のワクチン療法に係る研究が進んでいることなどが記載されていました。
100年ほど前は、50歳を超えて生きる人は希であり、よってアルツハイマー病は顕在化していなかったのですが、段々と人類の寿命が伸びるに従い、アルツハイマー病が発見されたそうです。それまでは、アルツハイマー病は老いに伴う自然発生的な出来事と見做されていたようです。
自分が、この本の中で、一番衝撃を受けた言葉をご紹介します。
「人間などの生物には、『死』がプログラミングされており、『死』の遺伝子が発現することによって人間は死に至るようにも思えるが、そうではない。
人間などの生物は、「生殖」がプログラミングされている。人間は、乳幼児の頃は死亡率が高いが、それを過ぎたならば生殖年齢の間は極めて死亡率は低い。生殖活動がおこなえることが次世代の子孫を残せる条件であり、よって生殖年齢の間は死亡率が低くなるような遺伝形態を有した者が次世代への生命を繋ぐことができるからだ。
では、生殖年齢が過ぎたものはどうなるのか。それは全くプログラミングされていない。その後にどうなったとしても、自然淘汰の対象ではないからだ。」
この言葉は、現代の先進工業国に於ける長寿化により、アルツハイマー病の脅威が現実のものになったことを言っているのですが、自分には同時に、これからの人生をどう生きれば良いかの示唆にも思えました。つまり、『死』は人間にプログラミングされておらず、よって「死」とは、いわばメンテナンス不良機器が動作停止するようなものであったならば、自分の身体を適切にメンテナンスすることで、よくメンテナンスされたクラシックカーが長く動作可能状態を保つように、自分も充実した長い人生を過ごせるのではないか、と。
そういえば、京都大学で研究が進められているiPS細胞は、いわば自分の身体をリニューアルできるようなもので、極めて画期的なものです。人類はiPS細胞により更なる寿命を享受できるのでしょうか。
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