特許検索の価値のデフレーション

 酒井美里さんは、特許検索業界では有名な方ですが、検索業務の価値について、このような記事を書いておられます。

データ/サービスの価値
http://ameblo.jp/sakaimisato/entry-10325246170.html

 この記事を読んで、自分も同じようなことを感じていたことに気づきました。
 インターネットが普及し、コンピュータの性能が向上し、かつ大容量ストレージが極めて廉価に入手可能となりました。以前は、単に特許検索結果を得るだけに多くの価値が認められていたのですが、今では特許検索などはIPDLや google patent などで次々と無料化されています。今、特許検索結果で高い費用が請求できるのは、テキストマイニング技術を用いた二次元マップソフト Aureka, TrueTeller, ATMS Analyzer などであり、通常の検索に認められる価値は下落しつつあります。
 PATOLISが倒産してしまったのには驚きましたが、同時にこの料金体系では使われないだろうと思っていました。書誌データ出力(いわゆるCSV出力。)が1件あたり数十円も掛かるという、前時代的な金額設定でしたから。通常は数千件から数万件を分析しますので、データ取得だけで数十万円も掛かるようでは、とても特許分析業務には使えません。
 先日の特許検索競技大会では、NRIサイバーパテントの概念検索機能でパイロット検索したとき、わずか5分ほどで最終回答に辿り付けました。これは特許検索競技大会というコンテストの意義を根本から揺るがすような事態だとおもいます。1時間掛けて緻密に検索式を設計した後、100件ちかくの特許公開公報をチェックして、答えを得られたのですが。殆ど労することなく、概念検索で自然文を入力して、同じ答えを得られるとしたら、誰が苦労して検索式設計技術を向上させようと思うでしょうか。

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特許検索競技大会 #2

8月29日(土曜日)に参加した、「特許検索競技大会2009」の問題を記憶にもとづいて再現してみました。問題プリントは全て回収されてしまった為です。

依頼者からのヒアリング内容は以下のものです。記憶にもとづくため、文章は正確には再現できておりません。
①携帯電話に、人工衛星からの電波を受信して位置を特定する機能を使い、ユーザーの行動履歴を分析する。そして、その分析内容とユーザーが訪れた施設や場所から、次に訪れるであろう施設や場所を分析して特定し、その施設や場所に係る情報(広告や施設概要やイベント)を取得する。そして、ユーザーが特に携帯電話を操作しなくとも、その施設や場所にかかる情報を自動で配信するというサービスを考えているが、このサービスに該当する特許公開公報を調査して欲しい。
②「次に訪れるであろう場所を特定する方法」について更に知りたい。

問題1は、検索式の設計の手順とその理由について
問題2は、①で依頼者から問われた特許公開公報のうち、最も該当すると判断したものと、その理由。
問題3は、②で「次に訪れるであろう場所を特定する方法」について、問題2の調査を通して知りえたものを記載し、更に本件調査で行うべきことを依頼者に提案すること。

これに対して、以下の方針で回答しました。
問題1は、依頼者からのヒアリング内容を要件ごとに分割して、対応する特許分類を調べて列挙するだけです。最終的には100件未満の特許母集団に特定しました。
問題2は、前記特許母集団のうちから、特開2008-310620「移動端末に対する広告情報配信システムおよび配信方法」を特定しました。以下に請求項1を引用します。

【請求項1】
  移動可能な端末装置に対して広告情報を配信するシステムであって、
  端末装置の移動範囲内に位置する複数の場所のそれぞれについて、当該場所を特定するための場所識別コードと、当該場所の位置座標を示す場所位置コードと、当該場所の特徴を示す場所特徴情報と、を互いに対応づけて登録した場所データベースと、
  前記場所データベースに登録されている複数の場所のうちの広告対象となる場所に関する広告情報と、当該広告対象となる場所の場所識別コードと、をそれぞれ場所ごとに対応づけて格納する広告情報格納部と、
  個々の端末装置の各時点の位置座標を示す位置情報を時系列データとして収集し、これを蓄積する位置情報収集蓄積部と、
前記位置情報収集蓄積部に蓄積されている、個々の端末装置の所定時間枠内の位置情報に基づいて、個々の端末装置が前記所定時間枠内に前記場所データベース に登録されている場所間をどのように遷移したかを推測し、その推測結果に基づいて、前記場所データベースに登録されている複数の場所を時系列で掲載した場 所遷移テーブルを作成する場所遷移テーブル作成部と、
前記場所遷移テーブル作成部が作成した多数の場所遷移テーブルに基づいて、ある着目場所について、当該着目場所への来訪前に来訪していた別な場所を先訪場 所として認識し、前記場所データベースに登録されている場所特徴情報を参照して、当該着目場所について、前記先訪場所の特徴を示す先訪場所特徴情報を求め る傾向分析部と、
  前記広告対象となる場所について、その場所識別コードと、その場所について前記傾向分析部によって求められた先訪場所特徴情報と、を対応づけた分析結果を格納する分析結果格納部と、
前記広告情報格納部に格納されている広告情報の配信先を決定するために、当該広告情報に対応づけられた場所識別コードについて、前記分析結果格納部に格納 されている分析結果により対応づけられている先訪場所特徴情報を抽出し、前記場所データベースを参照することにより、抽出した先訪場所特徴情報に対する合 致度の高い場所特徴情報が対応づけられている1つもしくは複数の場所識別コードで特定される場所を配信場所と決定し、前記位置情報収集蓄積部に蓄積されて いる個々の端末装置の現時点もしくはその直近の位置情報に基づいて、前記配信場所の近傍領域に位置すると判定された端末装置を当該広告情報の配信先端末装 置と決定する配信先決定部と、
  前記広告情報格納部に格納されている広告情報を、前記配信先決定部で決定された配信先端末装置に対して配信する広告配信部と、
  を備えることを特徴とする移動端末に対する広告情報配信システム。

問題3は、実質的に2つの質問から構成されています。
まず最初の「次に訪れるであろう場所を特定する方法」は、2件の公開公報から該当部分を引用しました。
次の「依頼者に対する提案」ですが、この文脈だと「次に訪れるであろう場所を特定する方法」か、または本件依頼者の要望に沿ったものである必要があります。自分は、「問題2で発見した特許の回避案の調査と、特許の無効資料調査」を述べましたが、これが題意把握ミスでないことを祈ります。

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特許検索競技大会 #1

 本日は、特許検索競技大会2009に参加してきました。
 受付開始時間は11時、集合時間は11時30分、です。机1つあたり2台のモニターが並んでいるので、デュアルモニターで見られるのかと期待したのですが、残念ながら右側のモニターは使えないとの告知がありました。
 11時55分頃に、問題用紙とフロッピーディスクが入った封筒が配られ、12時をもって競技大会が開催です。事前戦略通りに30分を検討に宛てました。
 電気・機械・化学・バイオ医薬の4つの問題のうち1つを選択して回答するという形式で、ちょっと機械にしようか迷ったのですが、電気で良いだろうと判断して、内容の分析を始めました。要件の分析を終えて、概略サーチのあと検索式を設計して、設計文書をちょうど書き終えたあたりで、なにやら皆様ざわついています。そういえば自分のパソコンも何か画面にポップアップが出て、妙な雰囲気です。たぶん13時40分頃だとおもいます。
すると、事務局の方が前に出てきて、「いまインターネットにアクセスできません。」とのこと、特許庁のサーバ(DNSサーバかな?)が動作しておらず、全ての外部アクセスが遮断されており、よって全ての特許検索システムが動作していないそうです。
 とりあえず、インターネットに繋がって無くてもできること、検索式設計の説明文書を作っていましたが、30分経っても1時間経ってもインターネットへのアクセスは復旧せず、よって検索システムが動作しません。もしかすると、特許検索競技大会は中止かもしれないと思っていたら、やっと3時20分頃に復旧して、検索システムは動作するようになりました。1時間40分の中断があった為、試験時間は2時間延長で19時までです。しかし、11時30分から19時まで、ずっと経済産業省の一室に閉じ込められているというのも辛いものです。
 自分の回答はというと、恐らく問題2のⅠで問われている「特許公開公報」はちゃんと見つけられたとは思うのですが、特許権の権利範囲をきちんと認定していないので恐らくマイナス点がつき、中程度の成績ではないかと思います。
 来年はもっと良い成績を取れるように頑張ります。

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過去の特許検索競技大会

ブログ「如何様インパクト・ファクター」に、第一回目の特許検索競技大会の模様が記載されていましたので、備忘録として記載します。

特許検索競技大会-参加してきました
http://ikasama-shi.at.webry.info/200706/article_3.html

 特許検索競技大会では、目的の特許公報を探し出す「調査能力」に加えて、「時間管理能力」及び「レポート作成能力」も問われるようです。
 なお、第一回の特許検索競技大会で1位になられたのは、スマートワークスの酒井美里さんです。自分は、酒井さんの検索セミナーを受講したことがあります。緻密な人だという感想を持ちました。

http://www.1smartworks.com/

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特許検索競技大会

特許検索競技大会に参加してきます。どのくらいの成績になるか楽しみです。
http://www.inpit.go.jp/jinzai/kensakutaikai/2009/yokoku.html
特許検索競技大会とは、決められた検索テーマの中で如何にして目的に沿った特許を検索してレポートを作成できるかという競技大会です。今年で3回目で、8月29日(土曜日)に開催されます。
今年は、募集からわずか2時間ほどでエントリーが満員になってしまったそうです。来年からは有料化かもしれませんね。

備忘録に特許検索競技大会に係るメルマガを貼ります。検索はいつもの先行技術調査と同じですが、もしかするとレポート作成部分で差がつくかもしれません。

 1:特許検索のネタ

 2:特許検索競技大会とは?
  2-1: 特許検索競技大会の歴史と概要
  2-2: 特許検索競技大会の出題内容
  2-3: 特許検索競技大会の配点と採点基準
http://www.e-patentsearch.net/mailmagazine/backnumber/mailmagazine078.html

 1:特許検索のネタ

 2:時間配分と検索方針の検討
  2-1: 最初に考えるべきこと
  2-2: 時間配分について
  2-3: 2つの異なる検索方針
http://www.e-patentsearch.net/mailmagazine/backnumber/mailmagazine079.html
 1:特許検索のネタ
 2:投網戦法と一本釣り戦法
  2-1: 投網戦法と一本釣り戦法の概念
  2-2: 投網戦法と一本釣り戦法の例
http://www.e-patentsearch.net/mailmagazine/backnumber/mailmagazine080.html


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青いバラ その3

青いバラ公式HPの「開発の歴史」から、対応特許出願を調査してみました。http://www.suntory.co.jp/company/research/hightech/blue-rose/history.html

「1991年 ペチュニアから青色遺伝子取得、特許出願」

対応する特許は特表平6-500239とおもいます。

【公開番号】特表平06-500239
【発明の名称】ブラボノイド経路の酵素をコードする遺伝子配列及びその使用
【優先日】 1991年7月11日

【出願人】インターナショナル フラワー ディベロプメンツ プロプライアタリー リミティド

【発明者】

ホルトン ディモシー アルバート
コーニッシュ エドウィナ セシリー
コバシク フィリバ
タナカ ヨシカズ
レスター ディアン ルース

【要約】本発明は、ジヒドロカンフェロール(DHK)ヒドロキシル化酵素又はその誘導体もしくは部分をコードするか又はそれをコードする配列に相補的なヌクレオチド配列を含んで成る核酸単離体に関する。
本発明はまた、前記核酸物質を有し、かつ発現するトランスジェニック植物に関する。

【特許請求の範囲】

【請求項1】ジヒドロカンフェロール(DHK)ヒドロキシル化酵素又はその誘導体もしくは部分をコードするか、又はそれをコードする配列に相補的なヌクレオチド配列を含んで成る核酸単離体。

【請求項4】前記酵素がベチュニア、バーベナ、ヒエンソウ、ブドウ、アイナス、フリージア、アジサイ、シクラメン、ポテト、パンジー又はナス由来である、請求項1~3のいずれか1項に記載の核酸単離体。

【明細書】(一部抜粋)

本発明に従えば、3'.5'-ヒドロキシラーゼのごときDHKヒロドキシル化酵素をコードする核酸配列をトランスジェニック植物に導入しそして発現させ、それにより、植物細胞中で合成されるなら、DHK及び/又は他の適当な基質を、最終的に、アントシアニジンのアントシアニン誘導体、例えばデルフィニジンベチュニジン又はマルビジンに転換することができる。これらのアントシアニンの生産は青色及び青様色の種々の色相の形成に寄与する。

出願人は「インターナショナル フラワー ディベロプメンツ プロプライアタリー リミティド」であり、サントリーでもカルジーンパシフィック社でもありません。発明者5名をチェックすると、見覚えのある名前がありました。

 ホルトン ディモシー アルバート
 コーニッシュ エドウィナ セシリー
 コバシク フィリバ
 タナカ ヨシカズ
 レスター ディアン ルース

 4番目の発明者の「タナカ ヨシカズ」さんは、サントリー株式会社 R&D推進部 植物科学研究所所長で、理学博士であらせられる田中 良和 氏と思われ、よって青いバラ関連特許と判断いたしました。WEB記事 「やってみなはれ」の伝統が生んだ革新的新商品 によると、ベチュニアの青色遺伝子の抽出に成功したのが1991年6月で、上記特許がオーストラリアに出願されたのは1991年7月ですので、日付として最もよく符号します。
 

 当該明細書中に発明の課題が記載されていますので、以下引用します。

主要な切花品種、例えばバラ、菊、カーネーション及びガーベラの青色品種の開発は、切花市場及び鑑賞市場の両者においてかなりの機会を提供するであろう。

 上記列挙されたうち、サントリーはカーネーションとバラの青色品種を既に開発されたので、次なる課題として菊とガーベラを挑戦されているのではと思います。

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青いバラ その2

 前回、青いバラを記載した理由は、G3プリンセスの記載で触れた「コンテンツと商品の融合によってコンテンツと商品の双方の利益率を向上させる」課題として最も適切だからです。

 これまでバラ育成者が青いバラを目指して何百年もの間品種改良を重ねながらも成功しておらず、青いバラは不可能の代名詞とすら言われていた事、遺伝子操作によって実現した今「叶えられた奇跡」という花言葉が検討されていることなどが、如何にもコンテンツ向けと考えたからです。

 普通に考えるならば、この「青いバラ」はサントリーフラワーズが切花として供給するのでしょうが、単に珍しさで売るだけでなく、コンテンツ産業とのコラボレーションを仕掛けて欲しいものです。バラというと誕生日のプレゼントの定番ですが、ドラマや映画の中で「青いバラ」を絡めて、困難な恋を叶えるストーリーを展開しては如何でしょうか。この企画採用時の映画のタイトルは、「青の奇跡」でお願い致します。

 以上は、子供をデパートに連れて行ったときの「プリキュア」のミルキイローズの台詞「青いバラは秘密のしるし、ミルキィ ローズ!」を聞いて思いついたことです。(笑)前記企画の細部を詰めていないのはご容赦ください。

 最初、サントリーの青いバラとプリキュアのミルキィローズをコラボレーションして売り出したらと考えましたが、バラは結構値段が高く、育てにくいので子供向けには無理と思います。うちの子に「青いバラだよ、ミルキイローズの花だね、欲しい?」と聞いても、多分、うんと言わないとおもいます。

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青いバラ その1

今回は、サントリーが2004年に発表した「青いバラ」について記載します。発表時の記事はこちらです。
「青いバラ」の開発に成功 サントリー

青いバラの公式ホームページはこちらです。
世界初、バイオテクノロジーで青いバラの開発に成功!

 青いバラというと、世界の園芸家がこれまで品種改良で挑戦を重ねながらもなかなか実現できませんでした。バラは青色の色素を有さない為と説明されていましたが、サントリーの福井裕子さんによりバラに含まれる天然の青色色素が発見され、「ロザシアニン」と命名されました。
http://sciencelinks.jp/j-east/article/200114/000020011401A0223599.php

 このロザシアニンによる「青いバラ」は岐阜県の河本さんによって育成された「ブルーヘブン(セントレア・スカイローズ)」です。ニックネームからして、中部国際空港が開港した頃に開発されたものとおもいます。

http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/kouhou-c/fureai/0503/pdf/pdf/gifujin.pdf

 その他、"Blue Perfume", "BlueBarou", "Madame Violet"や、栃木県の小林さんによって育成された「青龍」などがあります。育成で作られたもっとも青いバラは「青龍」または「ブルーヘブン」と思います。この青さはロザシアニンによるものですが、劣勢遺伝であり、かつ樹勢が弱いために、このバラを育てるのは大変と思います。

 

 サントリーは、遺伝子組み換え技術を使ってパンジーの青色色素遺伝子をバラに組み込みまました。写真だと青というよりちょっと紫っぽいのですが、従来のバラの色からいうと、驚異的な青さと思います。この青さはデルフィニジンという色素によるものです。
 これが外販されるのは2009年で、恐らくサントリーの株式上場のタイミングとぶつけて話題にするのではないかと想像しています。

 サントリーの株主優待に「青いバラ一鉢」が送られてくると、ちょっと嬉しいと思います。サントリーのIR担当の方はどうかご検討ください。

 次回以降で、この青いバラに係る特許や、その発明者について調査してみたいと思います。

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