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米国で Microsoft 社が MS WORD の差し止め命令を受けたようですね。
ZDNET Japanの記事をご覧ください。
http://japan.zdnet.com/news/ir/story/0,2000056187,20398237,00.htm
差し止め命令は、「Microsoftが、カスタムXMLを含む.XML、.DOCX、.DOCMファイル(XMLファイル)を参照可能ないかなるMicrosoft Word製品も、米国内で販売および輸入することを禁止する」というもので、対象製品は Word2003 及び Word2007 で、今回問題となった機能は独自のXMLタギング機能です。
問題の特許は、US5787449 (以降 「449特許」と略します)です。請求項1を見てみましょう。
A computer system for the manipulation of the architecture and content of a document having a plurality of metacodes and content by producing a first map of metacodes and their addresses of use in association with mapped content; said system comprising:
metacode map distinct storage means;
means for providing a menu of metacodes to said metacode storage means;
and means for compiling said metacodes of the menu by locating, detecting and addressing the metacodes in the document to constitute the map and storing the map in the metacode storage means; and
means for resolving the content and the metacode map into the document.
449特許の参考訳を以下に示します。
メタコードの最初のマップと、それらの写像している内容と関連して役に立つアドレスを製作することによって、多くのメタコードと内容を持っているドキュメントの構造と中身の操作するコンピュータ・システムに於いて、:
メタコードマップの別個の格納手段と、
前述のメタコード格納手段にメタコードに関するメニューを提供するための手段と、
そして、マップとマップを格納するメタコードを構成する為、ドキュメントにメタコードの場所を配置・検出・アドレス付与し、前述のメタコードのメニューのコンパイルする手段、及び
内容とメタコードマップをドキュメントに変えるための手段。
449特許の代表図を以下に示します。
アンテナハウスにOffice2003 +XML の機能が掲載されています。図1に注目してください。上記の図面に酷似しています。
http://www.antenna.co.jp/XML/xmllist/WordXML/W2k3Rep1020.html#IDAUCGO
Project Kyss にも Office2003 +XML の機能が掲載されています。
http://www.projectkyss.net/office/Word2003_1.htm
WORD2003 から、XMLの編集機能及び、XML Schema という文書構造定義が導入されました。この機能が449特許の権利範囲に入ると判定されたようです。メタコード=XML、メタコードマップ=XML Schema と読み替えてください。
請求項1とWORD2003を対比してみます。
メタコードの最初のマップと、それらの写像している内容と関連して役に立つアドレスを製作することによって、多くのメタコードと内容を持っているドキュメントの構造と中身の操作するコンピュータ・システムに於いて、
:XML Schema(メタコードマップ)は、XML(メタコード)の文書構造定義ですので、写像している内容と関連して役に立つアドレスを生成し、ドキュメントの構造と中身を操作すると判断されたようです。
メタコードマップの別個の格納手段と、
XMLスキーマ(メタコードマップ)は、XML(メタコード)とは別個に保存可能です、よって、当該要件を満たすと判断されたようです。
前述のメタコード格納手段にメタコードに関するメニューを提供するための手段と、
XML(メタコード)格納手段に、XMLに関するメニューがあるのでしょうか?この要件が具体的に何を指すのかは判りませんでした。
そして、マップとマップを格納するメタコードを構成する為、ドキュメントにメタコードの場所を配置・検出・アドレス付与し、前述のメタコードのメニューのコンパイルする手段、及び
XML Schema をメニュー表示して編集し、動的にXMLを操作できる手段のことと思います。「メニューをコンパイル」とありますが、WORD 2003 でもコンパイルしてオブジェクトコードとして管理されているのでしょうか。(まあ、XMLのプレーンテキストのままでは処理しづらいでしょうが)
内容とメタコードマップをドキュメントに変えるための手段。
当該要件は言わずもがなと思います。XML(内容) と XMLスキーマ(メタコードマップ)を元に、ドキュメント変換する機能は付与されています。
これは、Microsoft がどのような手段で対抗するか見ものです。あまりにも一般的な技術ゆえに公知資料を探索し、それをもとに特許無効を申し立てるのがもっとも適切と思います。WORDの実装を変えることで特許回避しても良いかとおもいます。恐らく、今回の賠償額はMicrosoft にとっては何ら痛手でない金額とおもわれ、むしろ差し止め命令が痛いのではないかと推察します。
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