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死蔵特許

今回は、Smips にて著者の榊原さんのご講演を拝聴した関係で、「死蔵特許」のご紹介です。

 死蔵特許とは、いわゆる「休眠特許」とは違います。

 いわゆる、「休眠特許」とは、何ら実施されることなく静かに存続期間満了を待っているという特許であると自分は理解しております。それに対して、「死蔵特許」とは、有効期間内だが発明者や権利者さえ存在を忘れている特許をいいます。他社がそれを実施(侵害)しても警告しないことから、他社が気づかないまま使用し、後になり何らかのきっかけで発見されて問題となります。http://www.ittosha.co.jp/ISBN978-4-903532-52-3.html
 この本では、いわゆるJPEG特許問題における「死蔵特許」についてのノンフィクションです。
 このJPEG特許は、米国の圧縮技術研究所(CLI)が発明したものです。圧縮技術研究所が他社に買収されたときに一緒に所有権が移転したにも関らず、買収先の会社も買収元の会社も、何らJPEG特許の存在に気付いていませんでした。そして、静かに時は過ぎ、存続期間満了をあと3年ほど残すまでになった2001年頃に、特許権者は、この特許がJPEGに係る基本特許であることに気付いたという話です。
 特許権者は、このJPEG特許で10億ドル(当時のレートで約1000億円以上)を得る予定であったそうですが、実際に得ることができたのは1億ドル程度だったそうです。予定の10分の1だったとはいえ、目も眩むような高額であることには違いありません。

 問題のJPEG特許のPDFファイルを以下に掲載します。 JPEGでは、離散コサイン変換(DCT: Discrete Cosine Transform)を用いて、画像データを空間領域から周波数領域へ変換します。変換された画像データは、量子化によって情報量を落され、ハフマン符号によるエントロピー符号化がなされて圧縮が行われます。

「4698672_Coding_system_for_reducing_redun.pdf」をダウンロード

【要約】 (参考訳)
 本発明は、方法と装置に信号を処理するための冗長な情報をそれ制限帯域幅媒体を介して信号をより転送に適して削除に関連する。本発明は、装置ビデオ圧縮システムの有用な関係の具体的方法です。
 通常、システムは現在の入力信号と、以前の入力が平方差信号を意味する使用して信号の違いを決定します。
これらの平均二乗信号が処理され、1つの操作のいくつかのモードを決定する1つ以上のしき い値と比較され。いくつかのモードで処理後、処理信号は、デジタル数字の形で命令冗長符号化されて
受信者に送信されます。

自分が少し気になったことは、
 2001年度以前の時点で、被引用分析によって、この特許がJPEGの基本特許であることが判ったのではないかということです。どなたか、US特許の被引用分析が可能なデータベースをお持ちの方は、USP4698672 で被引用分析いただければ幸いです。
 但し、2001年以降に出願された特許は除く必要があります。この特許がJPEG特許として著名になったことによって引用されたと考えられるためです。

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