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特許検索競技大会 #2

8月29日(土曜日)に参加した、「特許検索競技大会2009」の問題を記憶にもとづいて再現してみました。問題プリントは全て回収されてしまった為です。

依頼者からのヒアリング内容は以下のものです。記憶にもとづくため、文章は正確には再現できておりません。
①携帯電話に、人工衛星からの電波を受信して位置を特定する機能を使い、ユーザーの行動履歴を分析する。そして、その分析内容とユーザーが訪れた施設や場所から、次に訪れるであろう施設や場所を分析して特定し、その施設や場所に係る情報(広告や施設概要やイベント)を取得する。そして、ユーザーが特に携帯電話を操作しなくとも、その施設や場所にかかる情報を自動で配信するというサービスを考えているが、このサービスに該当する特許公開公報を調査して欲しい。
②「次に訪れるであろう場所を特定する方法」について更に知りたい。

問題1は、検索式の設計の手順とその理由について
問題2は、①で依頼者から問われた特許公開公報のうち、最も該当すると判断したものと、その理由。
問題3は、②で「次に訪れるであろう場所を特定する方法」について、問題2の調査を通して知りえたものを記載し、更に本件調査で行うべきことを依頼者に提案すること。

これに対して、以下の方針で回答しました。
問題1は、依頼者からのヒアリング内容を要件ごとに分割して、対応する特許分類を調べて列挙するだけです。最終的には100件未満の特許母集団に特定しました。
問題2は、前記特許母集団のうちから、特開2008-310620「移動端末に対する広告情報配信システムおよび配信方法」を特定しました。以下に請求項1を引用します。

【請求項1】
  移動可能な端末装置に対して広告情報を配信するシステムであって、
  端末装置の移動範囲内に位置する複数の場所のそれぞれについて、当該場所を特定するための場所識別コードと、当該場所の位置座標を示す場所位置コードと、当該場所の特徴を示す場所特徴情報と、を互いに対応づけて登録した場所データベースと、
  前記場所データベースに登録されている複数の場所のうちの広告対象となる場所に関する広告情報と、当該広告対象となる場所の場所識別コードと、をそれぞれ場所ごとに対応づけて格納する広告情報格納部と、
  個々の端末装置の各時点の位置座標を示す位置情報を時系列データとして収集し、これを蓄積する位置情報収集蓄積部と、
前記位置情報収集蓄積部に蓄積されている、個々の端末装置の所定時間枠内の位置情報に基づいて、個々の端末装置が前記所定時間枠内に前記場所データベース に登録されている場所間をどのように遷移したかを推測し、その推測結果に基づいて、前記場所データベースに登録されている複数の場所を時系列で掲載した場 所遷移テーブルを作成する場所遷移テーブル作成部と、
前記場所遷移テーブル作成部が作成した多数の場所遷移テーブルに基づいて、ある着目場所について、当該着目場所への来訪前に来訪していた別な場所を先訪場 所として認識し、前記場所データベースに登録されている場所特徴情報を参照して、当該着目場所について、前記先訪場所の特徴を示す先訪場所特徴情報を求め る傾向分析部と、
  前記広告対象となる場所について、その場所識別コードと、その場所について前記傾向分析部によって求められた先訪場所特徴情報と、を対応づけた分析結果を格納する分析結果格納部と、
前記広告情報格納部に格納されている広告情報の配信先を決定するために、当該広告情報に対応づけられた場所識別コードについて、前記分析結果格納部に格納 されている分析結果により対応づけられている先訪場所特徴情報を抽出し、前記場所データベースを参照することにより、抽出した先訪場所特徴情報に対する合 致度の高い場所特徴情報が対応づけられている1つもしくは複数の場所識別コードで特定される場所を配信場所と決定し、前記位置情報収集蓄積部に蓄積されて いる個々の端末装置の現時点もしくはその直近の位置情報に基づいて、前記配信場所の近傍領域に位置すると判定された端末装置を当該広告情報の配信先端末装 置と決定する配信先決定部と、
  前記広告情報格納部に格納されている広告情報を、前記配信先決定部で決定された配信先端末装置に対して配信する広告配信部と、
  を備えることを特徴とする移動端末に対する広告情報配信システム。

問題3は、実質的に2つの質問から構成されています。
まず最初の「次に訪れるであろう場所を特定する方法」は、2件の公開公報から該当部分を引用しました。
次の「依頼者に対する提案」ですが、この文脈だと「次に訪れるであろう場所を特定する方法」か、または本件依頼者の要望に沿ったものである必要があります。自分は、「問題2で発見した特許の回避案の調査と、特許の無効資料調査」を述べましたが、これが題意把握ミスでないことを祈ります。

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