« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »

VocaSim

ITMediaの記事で、MikuMikuVoice と並んで VocaSim が取り上げられています。
VOCALOID“神調教”技術「ぼかりす」実用化へ、ヤマハと産総研が連携

一方、ユーザーのあいだから、ぼかりすと同様の成果を出すことができるソフトウェアがいくつも出され、「MikuMikuVoice」「VocaSim」などではすでに多くの作品が公開されている。

VocaSimはコマンドラインツールであり、樋口優さんのMikuMikuVoiceと比べればクセがあって使いにくい筈ですので、なか なかユーザが増えないですね。(VocaSimに使いやすいGUIを被せるなりのバージョンアップしろという話もありますが(笑)

教えて!goo に 「VocaSim」の使い方の質問があり、処理したいVSQファイルと同じフォルダに実行ファイルを置くという方法が紹介されています。とりあえず暫定ですが、ユーザの方々にはこの方法で処理いただければと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

フォン・ノイマンの生涯

いま、「フォン・ノイマンの生涯」を読んでいます。
様々な技術領域で多くの業績を残した学者らしく、頭のよさと変人さに係る逸話が多く残っています。例えば以下の問題を独特の方法で答えたりしました。

南北20キロ離れた二台の自転車が向かい合って同時に時速10キロで走り出す。
 走り出した瞬間に北側の自転車からハエが飛び立って時速15キロで、南側の自転車にタッチしてUターン、それを順次繰り返してハエが2台の自転車にはさまれてお陀仏になるまで、ハエは合計何キロ飛翔するか。

簡単な解答法は、2台の自転車がぶつかるまでの時間を求めます。

 1時間=(20キロ÷(時速10キロ+時速10キロ)

これがハエの飛翔時間になりますので、ハエの飛翔速度を掛けて飛翔距離累積を求めます。

 15キロ=1時間×時速15キロ

フォン・ノイマンの答えは「無限級数の和を求めただけ、本当の数値はもっと複雑」だそうです。その思考パターンをトレースしてみました。

①最初にハエが南側の自転車にぶつかるまでの時間を求めます。

 0.8時間=20キロ÷(時速10キロ+時速15キロ)

②ハエの飛翔距離は12kmです。このとき南側の自転車の位置は南から8km、北側の自転車の位置は北から8kmで、両者の間隔は4kmで、元の1/5に狭まっています。

③次にハエが北側の自転車にぶつかるまでの時間を求めます。

 0.16時間=4キロ÷(時速10キロ+時速15キロ)
 =0.8時間÷1/5

④このときのハエの飛翔距離は0.16時間×時速15キロです。

無限級数の和は

 ハエの飛翔距離=12km+12km÷5+12km÷(5の2乗)+12km÷(5の3乗)+・・・
   ∞              n
 =Σ(12km ÷5   )
   n=0

 =15km

この本を読んでいて出てきた逸話ですが、昔に同類の問題を問われて、簡単な解答法の法で答えた覚えがあります。たぶん、「フォン・ノイマンの生涯」が元ネタで出題されたのだと思います。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

アニメーターという職業の終焉#2

前回とりあげた「アニメーターという職業の終焉」について更に考察してみました。

 日本に於いてアニメーターという職業が大きく広まったのは、手塚治虫氏および虫プロダクションのTVアニメーション「鉄腕アトム」からです。それ以来ずっとアニメーターに求められる能力は、作画と動画像把握及び動画による感情表現でした。特に作画能力は特殊であり代替が利き難い為、アニメーターという職業への参入障壁となっていました。しかし、コンピュータの3D表示能力の進化が、そのアニメータの領域を侵食しつつあります。具体的には3Dモデリング・ツールが充分に廉価かつ高速に動作するようになり、作画能力を有さない者であってもアニメーション作品を作成できるようになったからです。

 ニコニコ動画に投稿された動画を母集団として、自主制作アニメーション作品(恐らく従来の二次元手書きアニメ)とMikuMikuDance(フリーの3Dモデリング・ツール)を使った作品の件数を調査したところ、MMDで作成された作品が圧倒的に多いことがわかりました。

キーワード:自主制作 アニメ を含む動画:343件
キーワード:MMD を含む動画:2,682件

 MikuMikuDance とは、初音ミクの3Dモデルを自在に操作できるフリーソフトウエアですが、最近は初音ミクやVOCALOIDに限らず、様々なキャラクターが製作されています。以下URL "SaYaKa Project" に「けいおん」平沢唯や「こどものじかん」九重りんが掲載されていますが、驚くほどに高度なモデリングです。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/kakomiki/page/3ddata.html

 また、3Dモデリングツールによるアニメーション製作能力の向上は驚くべきものがあります。この Silenceは凡そ9分間の作品ですが、たった1人の方(かんなさん)の手によって作成されたものです。

有名な "Melody 3DPV" の MMD版も貼っておきます。

 従来の「アニメーター」という職業の参入障壁の「作画能力」は、コンピュータの3Dモデリングツールによって乗り越えられます。更に、3Dモデリングツールによってアニメーション作品の生産性が劇的に向上する為、従来の二次元の作画を業とするアニメータという職業は終焉を迎えます。

 もちろん、従来型の二次元手書きアニメーターという職業はは完全には消失しません。作品の演出上、二次元の手書きアニメーションという形態が望ましい場合もあるからです。但し、その需要は現在の数分の1に減少すると思われます。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

アニメーターという職業の終焉

アニメーターとは、アニメーションの原画や動画を描く人のことです。詳しくは作画wikiをご覧ください。日本国内のアニメーター人数をフェルミ推定で求めてみます。

・1週間あたりの新作アニメーション番組数は20~30番組です。(Yahoo Japanのテレビ番組欄より、30分番組に限定してカウントしました)

・30分番組から、CMやオープニング・エンディング・予告を除いた実際の放映時間は21分30秒です。この放映時間すべてフルに動いていたならば1280秒×8枚=10,320枚の動画を要しますが、背景画のパンニングやリピートなどを駆使することにより実際の作画量は4,000枚程度になると推定します。

・1日あたりのアニメータ(動画家)の作画数を15枚と推定します。根拠資料はアニメータ養成プロジェクトです。

・アニメーターが週6日働いたとして90枚の作画が可能で、1番組に要するアニメーターは44名ですが、実際には原画家のカット割には更に時間を要します。よって、1番組に要する原画家と動画家を含めたアニメータを50名と推定します。これに週当たりの新作番組数と掛けることで、日本国内のアニメータ総数は1,000名~1,500名という数字が算出できます。

さて、提起したい課題は、この国内約1000~1500名から構成される「アニメータ」という職業の終焉が近いということです。以下の動画をご覧ください。(著作権者の方へ、以下は広告宣伝用動画でありリンクの紹介は問題ないと判断いたしましたが、問題と思われた場合にはコメント欄に記載願います。)

これはフロントウイング社の「タイムリープ」というXBOX360上のポリゴンキャラクターゲームなのですが、驚くことにTVのアニメーション番組と何ら遜色ないということです。「表情、仕草、全てがいきいきと動く奇跡のポリゴンキャラクターゲーム」と銘打っていますが、何らそのキャッチコピーに反することはありません。

 このシステムは、恐らく人間の動作をキャプチャして、その動作をポリゴンモデルで再生していると思います。人間の動作のキャプチャには多くの工数を要する為、その工数をいかに削減するかという課題がありますが、その課題され達成されれば、現在のアニメータの多くは、その職を追われるか、三次元ポリゴンモデルの造形師となるか、または3次元的ポリゴンモデルの動作やカメラアングルを指定する「ポリゴン・アニメータ」となるという将来を予測します。

「タイムリープ」と同種のシステムとして「らぶデス3」(18禁)がありますが、いちおいう18禁の趣旨に鑑み動画リンクを貼るのは控えます。そういえば、タイムリープも元々は・・・

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »