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特許庁法改正説明会

 先日、特許庁の「特許法等の一部を改正する法律について」の説明会に参加してまいりました。
 「1、通常実施権等登録制度の見直し」は、特許のライセンシーを守る制度ですね。
 丸島儀一氏の「キヤノン特許部隊」では、ライセンサーの破産や合併、買収によりライセンシーの権利が損なわれることについて触れておりました。これに対応してか、改正破産法が平成17年1月1日に施行され、登録されたライセンス権は第三者に対抗でき、よってライセンシーの権利が守られることになりました。(破産法56条1項)

 破産法第五十六条  第五十三条第一項及び第二項の規定は、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない。

 しかし、出願後登録までの権利については、ライセンス契約されることが多かったにも関わらず、登録制度を有しなかったため、ライセンサーの破産によりライセンシーは破産管財人に対抗できず、よってライセンシーの権利が損なわれるという問題がありました。
 今回の法改正で、出願後の権利について「仮通常実施権(34条の2)」「仮専用実施権(34条の3)」が設定でき、登録により第三者対抗要件を具備することになります。

 また、ライセンス契約の存在はライセンシーにとって秘密にしたい場合が多いです。何故かというと、ライセンス契約が公になるとライセンシーの事業動向が露になってしまうからです。よって、今までライセンス契約の利用率は1%程度であったと推測されています。
 このような産業界に於ける実態を踏まえて、通常実施権の登録においてライセンシーの氏名や名称は一定の利害関係人のみ開示されることになりました。これにより、ライセンスの登録が進み、ライセンシーの権利が保護が充分におこなえると思います。

 なお、仮通常実施権等が設定できるのは「特許・実用新案法」だけです。これに纏わり「意匠出願(※)において、仮通常実施権を設定できる場合はない。」など短答の問題が作られそうですね。

6月20日追記:※ 「意匠出願」を「意匠登録出願」に改めます。受験生の皆様も細かな表記にはご注意ください。(恐らくマイナス1点に相当すると思われます。)

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