維新の志士の名称「吉田松陰」、「高杉晋作」、「桂小五郎」などの商標登録に対する登録意義申立ての記事を見つけたのでご紹介します。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080218-OYT1T00511.htm
貸金業者が「吉田松陰」など商標登録、萩市が異議申し立て
(2008年2月18日20時59分 読売新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0218/SEB200802180005.html
維新の志士3人を商標登録 萩市が特許庁に異議申し立て
2008年02月18日21時23分 朝日新聞より
この記事によると、問題となっている商標登録は、「吉田松陰」、「高杉晋作」、「桂小五郎」で、登録日は昨年11月16日、商標掲載公報発行日は昨年12月18日です。
以下にIPDLからの情報を貼ります。
(111)
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【登録番号】
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第5090921号
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(151)
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【登録日】
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平成19年(2007)11月16日
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(210)
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【出願番号】
|
商願2005-60000
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(220)
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【出願日】
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平成17年(2005)6月30日
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【先願権発生日】
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平成17年(2005)6月30日
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【最終処分日】
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【最終処分種別】
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【出願種別】
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【商標(検索用)】
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吉田松陰
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(541)
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【標準文字商標】
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吉田松陰
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(561)
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【称呼】
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ヨシダショウイン,ヨシダショーイン
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(531)
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【ウィーン図形分類】
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(732)
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【権利者】
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【氏名又は名称】
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株式会社東広 |
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【類似群】
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31C01 31D01 32A01 32B01 32C01 32D01 32E01 32F01 32F02 32F04 32F05
32F07 32F10 32F11 32F12 33A01 33A02
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【国際分類版表示】
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第8版
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(500)
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【区分数】
|
1 |
(511)
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(512)
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【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
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|
29
|
食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく
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(111)
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【登録番号】
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第5090919号
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(151)
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【登録日】
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平成19年(2007)11月16日
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(210)
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【出願番号】
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商願2005-59998
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(220)
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【出願日】
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平成17年(2005)6月30日
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【先願権発生日】
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平成17年(2005)6月30日
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【最終処分日】
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【最終処分種別】
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【出願種別】
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【商標(検索用)】
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桂小五郎
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(541)
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【標準文字商標】
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桂小五郎
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(561)
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【称呼】
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カツラコゴロウ,カツラコゴロー
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(531)
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【ウィーン図形分類】
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(732)
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【権利者】
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【氏名又は名称】
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株式会社東広 |
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【類似群】
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31C01 31D01 32A01 32B01 32C01 32D01 32E01 32F01 32F02 32F04 32F05
32F07 32F10 32F11 32F12 33A01 33A02
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【国際分類版表示】
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第8版
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(500)
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【区分数】
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1 |
(511)
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(512)
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【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
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29
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食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく
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(111)
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【登録番号】
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第5090922号
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(151)
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【登録日】
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平成19年(2007)11月16日
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(210)
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【出願番号】
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商願2005-60001
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(220)
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【出願日】
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平成17年(2005)6月30日
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【先願権発生日】
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平成17年(2005)6月30日
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【最終処分日】
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【最終処分種別】
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【出願種別】
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【商標(検索用)】
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高杉晋作
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(541)
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【標準文字商標】
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高杉晋作
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(561)
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【称呼】
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タカスギシンサク
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(531)
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【ウィーン図形分類】
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(732)
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【権利者】
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【氏名又は名称】
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株式会社東広 |
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【類似群】
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28A01 28A02 28A03 28A04 29C01 31A06 31C01 31D01 32A01 32B01 32C01
32D01 32E01 32F01 32F02 32F04 32F05 32F07 32F10 32F11 32F12 33A01 33A02
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【国際分類版表示】
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第8版
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(500)
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【区分数】
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3 |
(511)
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(512)
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【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
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29
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食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく
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32
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ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース
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33
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日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒 |
これに対して萩市が異議申立をおこなったのは今年2月15日です。公報発行日から2月以内の期限内であるため、時期的要件を満たしています。
問題は登録異議申立理由とおもいます。異議申立人である萩市は、「人物の名声に便乗した利益取得が目的といわざるを得ない」と主張しておりますので、登録異議申立理由は、恐らく商標法4条1項7号(公序良俗違反)であると思われます。
しかし、「吉田松陰」、「桂小五郎」の名称は過去に別商品にて別会社が既に商標登録を受けて」いることが判りました。「吉田松陰」は、昭和38年2月18日に賀茂鶴酒造株式会社が商標登録を受けており、「桂小五郎」は、平成17年8月12日に株式会社ジャパンネットワーク・データベースマーケティングが商標登録を受けています。公序良俗違反を理由とするならば、これらの商標登録の無効審判も同時に請求しなければならないのではとおもいます。自分が商標権者またはその代理人ならば、登録異議申立に対する抗弁として、そこを突くとおもいます。すなわち、既存の同一商標登録に対して何らアクションしていないということは、その商標の使用を認めているということではないかという抗弁です。以下のようになると思われます。
「既に日本酒等を指定商品とする商標『吉田松陰』が昭和38年に登録されており、現在に至るまで権利が存続している。よって、登録異議申立人が当社の商標のみが公序良俗に反するとするのは根拠に欠けると判断する。」
自分が萩市の代理人として登録異議申立てするならば、商標権者自らの使用意思がなく、3条1項柱書違反にあたるという理由とすると思います。貸金業者が食用油脂、加工水産物などの食品、酒類、清涼飲料水を業として販売するとは考えにくい事と、商標法の設立趣旨にも合うと思われるからです。
商標掲載公報発行の日から2月経過後30日が経過するまで(3月17日まで)は、申立ての理由は要旨変更の補正が可能(43条の4第2項柱書)なので、申立ての理由に4条1項7号にくわえ、3条1項柱書を理由とすることを萩市にお勧めしたいと思います。
コメント
不勉強なので、的外れかもしれない質問ですいませんが、当該対象となっているような著名な故人氏名は4条1項8号の商標に該当しないのでしょうか?また故人になってしまった氏名、名称、著名な雅号、芸名、略称などは当人に承諾を得ることができないものであれば、必然的に使用できない商標とはならないのでしょうか?っと思ってしまいました。
投稿: GEN | 2008年2月25日 (月) 12時50分
4条1項8号の商標には該当しません。
商標審査基準に「本号でいう『他人』とは現存する者とし、」と記載されています。
よって、故人となってしまった者は4条1項8号には該当しませんし、承諾を得る必要もありません。
投稿: 和泉聡 | 2008年2月25日 (月) 20時24分