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短答式過去問集 #2

 短答過去問の解き方ですが、自分はノートに枝番号と「○×?」と根拠となる理由や条文番号を書き込むようにしていました。根拠理由があやふやだと解けたうちに入らないと考えていました。また、「?」の枝があっても決め枝で番号が判る問題というのも曲者です。これは決め枝無しの状態だと「×」になる可能性が高いですから、「?」がひとつでも入ると正答とな見做せないと考えます。

昨年のノートを見返すと、こんな感じで書いていました。ご参考までに。

H11-39
1、× 49条の無効理由ではない。
2、○ 67条の2
3、○ 請求取下げは審議終結まで
4、○ 17条の2⑤
5、○ 処分を受けた者、特・専・登通

 最後の「特・専・登通」は、特許権者、専用実施権者、登録された通常実施権者のことだとおもいます。時間がないので、その場だけでわかるような略し方をいっぱいしています。
 数問を解き終わったら、答えと照合して、すべてが一致していたときのみ正答と見做し、過去問のページ右上の履歴記載位置に「○」を、そうでなければ「×」を書き込んでいました。そして、「×」のものだけ集めて、第二回の解答をしてゆきます。これにより2回目以降は1回目よりも早くおわることが期待できます。
 なお、過去問集の各枝に「○×?」と理由を書き込まずにノートに書くようにしたのは、理由づけを書くスペースがないということと、いったん各枝に関する書き込みをしたならばもう過去問集として使えなくなるという理由からです。

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短答式過去問集

Wセミナーの書籍部で過去問集をちょっと見てみました。見開きの右側に問題があり、それをめくった裏に答えと簡単な解説が掲載されています。2色刷りで見やすくすっきりと仕上がっていますね。法改正が問題の選択枝に与える影響はどうしているんだろうかと、ちょっと興味がわきます。

LECの過去問集はこちらです。法改正を反映するごとに、本来なら選択枝がひとつだけの筈が、「2と5」みたいに2つの選択肢が正解となったりして、ちょっと戸惑いました。

予備校の書籍担当の方にお願いですが、過去問集は、頁毎にバラバラにしやすいような装丁にしていただきたく、そして、パンチ穴を予め開けておいていただきたく。

問題をバインダーファイルに入れ、正答した問題は順次外してゆくことで勉強効率を上げる為と、問題の順序を「覚えてしまう」ことを防ぐためにシャッフルする為です。

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弁理士登録用の写真

弁理士登録に必要な写真というのがまた巨大なのですよね。縦11.5cm×横8cmですから。とこの証明写真ボックスでも、こんな大きなサイズは撮れないとおもいます。
この写真の要件を以下引用します。

六箇月以内に撮影したもの。
縦11.5cm×横8cmの手札型サイズで上半身正面、無帽、背景なしの鮮明なもの1葉。裏面に、撮影年月日と氏名を記載の上、所定の用紙に貼り付けしてください。(カラー・白黒どちらでも可。ただしスナップ写真等は不可。)

劣化の恐れがあるインク式写真は使用できません。

この大きさですが、通常のLサイズ(89mm×127mm)の写真プリントを一回り小さくしたものであることに気づきました。よって、無地の壁などをバックにして縦アングルで撮影し、Lサイズでプリントしたのちにハサミやカッターで端をすこし切り取ればOKです。
家中の照明器具で照らして、ノイズ抑圧のため感度を最低にして、かつノーストロボで撮りました。これでやっと「鮮明なもの」が撮れました。
インク式写真は不可とあるので、家庭用のインクジェットプリンターの印刷物は不可ですね。この制約がなければ、もっと簡単だったのでしょうけどね。

(数年前の証明写真用の画像データを使って、街の写真プリント屋で焼き増ししようかという悪魔のささやきに屈してしまいそうになったことは秘密です。(笑))

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弁理士となる資格を証する書面

いまは、弁理士登録申請に必要な書類をチェックして、揃えている最中です。
以下の書類が必要とされます。

1.弁理士登録申請書
2.登録免許税領収証書(6万円)の原本
3.住民票(発行から3ヵ月以内のもの 1通)
4.弁理士となる資格を有することを証する書面
5.勤務証明書
6.誓約書
7.身分証明書(発行から3ヵ月以内のもの 1通)
8.登記されていないことの証明書
9.履歴書
10.6ヶ月以内に撮影した写真1葉(11.5×8)
11.弁理士登録料(8万円)及び登録当月分の会費2万円(計10万円)

このうち、「4.弁理士となる資格を有することを証する書面」が何なのか判らずに焦りました。弁理士登録申請の手引きにも実例は載っていないし、日本弁理士会から送付されてきた書類一式の中にも該当する書類はありません。書類欠けか?!と思いきや4頁目に以下の記載がありました。

弁理士となる資格の種類に応じて、それぞれ以下の書類のうち、いずれか一点が必要になります。
①弁理士試験合格者の場合(弁理士法第7条第1項に該当する方)
 工業所有権審議会会長の発行する合格証書の写本1通又は特許庁長官の証明書。
・・・・

何のことはなく、合格証書のコピーで良いようです。なんだか焦ったのが馬鹿らしくなるようなオチでした。
深夜だというのに、さきほどコンビニのコピー機で合格証書をコピーしてきました。明日でもいいんですけど、まあ思い立ったが吉日ですからね。

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ストラトスフィア Long Ver.

初音ミクを用いたオリジナル曲「ストラトスフィア」の Long Version が公開されましたので貼っておきます。音の透明感がいいですね。

STRATOSPHERE とは英語で「成層圏」の意味で、この曲はロシアの戦闘機 MIG-29 が飛翔する様を歌にあらわしたものです。

(恐らく、元ネタは「初音ミク」と「MIG-29」を掛けたもので、「migmig にしてやんよ」という趣旨ではないかと思いますが、定かではありません。(笑))

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日本語のアクセント

日本語のアクセントで調べていると、Yahoo辞書に、共通語(標準語)のアクセントにかかわる記載を見つけました。以下に引用します。

『大辞林 第二版』のアクセント表示


  1. 日本語のアクセントは、単語を発音するさいに、その単語の中に含まれる個々の「拍」を高く発音するか低く発音するかによって決まる。拍とは日本語の音の長さの単位をいい、「キャ・シュ・チョ」などの拗音はカナ2字で1拍である。

  2. 共通語では、1拍目と2拍目との間に必ず音の高低の変化がある。

  3. 1拍目が高で2拍目以降が低である語は「頭高型」と言い、この辞典では [1] で示した。

  4. 1拍目が低で、あとに続く助詞を含め高から低に移る箇所のない語は「平板式」と言い [0] で示した。

  5. 1拍目が低で、2拍目以降が高になり、語中、語末に高から低に移る箇所のある語は「中高型」または「尾高型」と言い、低に移る直前の音の位置が2拍目であれば [2]、3拍目であれば [3]… のように示した。その位置が語中にあるものを「中高型」、語末にあるものを「尾高型」と言う。

  6. 以上のうち、平板式を除く「頭高型」「中高型」「尾高型」を総称して「起伏式」と言う。

 これを見ると、標準語のアクセントルールが意外と単純なことがわかります。たったこれだけのルールで構成されているのですから。
 自然文を形態素解析して単語に分解し、辞書をもとに単語のアクセントの種類を調べ、上記ルール通りのアクセントを付与すれば、初音ミクが自然文を喋るシステムが出来上がりですね。

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特許法 102条(e)

今日は、米国特許法の102条(e)を纏めてみます。自分自身への備忘録を兼ねています。USPTOの条文リンクはこちらです。

(e)  the invention was described in -

(1) an application for patent, published under section 122(b), by another filed in the United States before the invention by the applicant for patent or

(2) a patent granted on an application for patent by another filed in the United States before the invention by the applicant for patent,

except that an international application filed under the treaty defined in section 351(a) shall have the effects for the purposes of this subsection of an application filed in the United States only if the international application designated the United States and was published under Article 21(2) of such treaty in the English language; or

和訳すると以下となります。

(e)発明が以下に記載されている場合、

(1)当該発明の日前に米国に出願され、122条の規定により出願公開された特許出願か、または

(2)当該発明の日前に米国に出願され、特許権が付与された特許出願であること。

但し、351条に規定された国際特許出願で米国を指定国とし、かつArticle21(2)に基づき英語で出願公開されたものに限り、この項に記載された効果を有する。

102条(e) は29条の2の拡大先願と似ているように思いますが、日本国と違い、本願の判断基準は「出願時」ではなく「発明日」だそうです。文言上は「日単位」であることは何ら明示されていませんが、判例または通説により日単位で運用する事となっているようです。詳しくはMPEPに記載があるのかな。

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ストラトスフィア

これも、初音ミクを用いたトランスのオリジナル曲です。様々な才能を持った者たちが次々と初音ミクを使いこなす様が、あたかもコンピュータが「マイコン」と呼ばれていた非力な頃に、遠い将来の可能性を見出し、従来の産業構造を変革するムーブメントを起こした天才ハッカーたちの姿とダブります。

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初音ミクの商標登録出願

 クリプトン・フューチャー・メディア(株)さんも、「初音ミク」を商標登録出願してましたね。ちょっと気になっていたんで特許電子図書館で検索を掛けたらヒットしました。出願日は初音ミク発売日の1週間後です。 この商標は著名性が高いので、商標の価値は高いです。
 指定商品に「電子出版物」が記載されているのは流石とおもいました。初音ミクが読み上げる○○○なんていう商品もこの出願でカバーされるよう考慮されているのですからね。ただ、自分がこの出願を担当したならば、第41類「技芸、スポーツ又は知識の教授」「電子出版物の提供」も含めるとおもいます。
 CVシリーズ02「鏡音リン」で検索したらヒットしませんでしたが、こちらも既に商標登録出願されているのではないかと思います。


(210) 【出願番号】 商願2007-99911
(220) 【出願日】 平成19年(2007)9月6日
  【先願権発生日】 平成19年(2007)9月6日
  【最終処分日】
  【最終処分種別】  
  【出願種別】                                        

  【商標(検索用)】 初音ミク
(541) 【標準文字商標】 初音ミク
(561) 【称呼】 ハツネミク
(531) 【ウィーン図形分類】

(731) 【出願人】
  【氏名又は名称】 クリプトン・フューチャー・メディア株式会社

  【類似群】 05D01 09A01 09D01 09E21 09E26 09G53 19B33 24A01 24B02 24C01 24D01 24E01 25B02 26A01 26D01 41E01 41E02 41E03 41E04 41H01 41J01 41K01 41K02 41M01 41M06 41M08 41Z99 42G01 42N01 42N02 42N03 42P01 42P02 42P03 42Q01 42Q02 42Q03 42Q99 42R02 42R03 42X04 42X11 42X14 42X31
  【国際分類版表示】 第9版
(500) 【区分数】
(511) (512) 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
移 動体電話による通信を用いてダウンロードされる移動体電話機の着信用の音楽,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,駐車場用硬貨作動式 ゲート,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械, 票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,レギュレーター,家庭用テレビゲームおもちゃ,電気溶接装置,メトロノー ム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD―ROM,電子楽器用自動伴奏プログラムを記憶させた電子回路及び CD―ROM,電子出版物
28 スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具
41 ゲー ム機械器具を備えた遊戯場・遊園地・その他の娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,電子計算機端末による通信を用いて 行うゲーム又はゲームに関する映像の提供,ボウリング場・その他の運動施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,お もちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,スロットマシンの貸与,遊戯用器具の貸与,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制 作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,音響用又は映像用のスタジオの提供,映写機及びその附属品の貸与,映写フィル ムの貸与,移動体電話による通信を用いて行うゲームの提供
42 イ ンターネット・電子メールその他の通信ネットワークを用いた電子計算機用プログラムの提供,移動体電話による電子計算機用プログラムの提供,気象情報の提 供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案, 電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必 要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する 試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著 作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続きの代理,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具 の貸与,製図用具の貸与

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初音ミクと著作権について #2

 先日、当該ブログに書いた「初音ミクと著作権について」の追記です。
 松尾公也さんのブログに「初音ミクが問いかける、楽器と歌手の境界線」で、幾つかの問題を提起されています。初音ミクを用いた音楽は「歌唱」なのか否か、「歌唱」と判断するならば、どの程度の「歌声度」ならば「歌唱」と判断し、それ以外を「楽器」と判断するのかという点です。
 現実に松尾さんが初音ミクに歌わせた歌はMySoundユーザースペースに公開申請しても手続きに手間取っているようで、MySoundユーザースペース運営元のYAMAHAと著作権申請先のJASRACの両者で喧々諤々と議論されているのではないかと想像します。
 以下に自分の意見を述べます。

◆初音ミクを用いた音楽は歌唱なのか否か?

 著作権法、及びJASRACの使用料規定には歌唱は定義されていません。大辞林 第二版 (三省堂)には以下のように定義されています。

かしょう ―しやう 【歌唱】

(名)スル

歌をうたうこと。また、歌。
「―の指導」「―力」

 この定義に歌唱の主体は明示されていませんが、暗黙のうちに自然人が想定されていると解されます。よって、VOCALOID2 Editor がWAVファイルを出力することは歌唱には該当しません。主体が自然人ではないからです。
 しかし、初音ミクを用いた音楽の固定物は「歌唱の固定物」と判断します。その理由は、VOCALOID Editor 入力者が、その歌唱の固定物を得たいという意思のもとに入力をおこなっている事によります。これは、結果の発生を認識しながらそれを容認して行為するという心理状態に該当し、民法上の故意と判断されます。(故意-Wikipedia より) また、客観的に、その歌詞及び音階で聞き取れる場合には、原歌詞の歌唱の固定物を故意に作成したと主張することは容易とおもいます。

 しかし、これにはやはり疑義あると思います。実際には歌詞通りにVOCALOID Editor に打ち込むことはなく、発音を自然にjする為、多少のアレンジを加えるからです。例えば、「はつめい」を「はつめー」「とっきょ」を「と<無発音>きょ」等とアレンジすることがこれに該当します。このようなアレンジを加えていって、原曲の歌詞と相違する歌唱をVOCALOID Editor で入力した場合にはどう判断すべきかは極めて微妙と思います。

 また、松尾さんの例では、初音ミクに適当なハミング、『タララララー』とか『ファファファファファ~』などで歌わせて公開申請したそうです。JASRAC がどう判断するのか興味深いです。自分は、この初音ミクのハミングは歌唱ではあるが原作詞家の上演権(著作権法22条)の権利範囲には入らず、作曲家の演奏権(著作権法22条)の権利範囲のみに入ると判断します。

◆どの程度の「歌声度」ならば「歌唱」と判断し、それ以外を「楽器」と判断するのか?
 著作権法上、歌唱と楽器は定義されておらず、法上の判断基準はありません。寡聞にして判例や通説も知りません。よって判断基準は不明です。
 あえて基準を想定するならば、以下のようなものが考えられます。

①一部の視聴者が楽曲中に歌詞を聞き取れたならば、歌唱と判断する。
②大部分の視聴者が楽曲中に歌詞を明確に聞き取れたならば、歌唱と判断する。
③一部の視聴者がブラインドテストで人間の歌唱と区別つかなかったならば歌唱と判断する。
④大部分の視聴者がブラインドテストで人間の歌唱と区別つかなかったならば歌唱と判断する。

 ①と②の判断基準は、著作権法2条1項3号の実演の要件「演劇的に歌い」の要件を満たさないと解され、これが基準となるとは思えません。よって、③または④が基準となると思われ、自分としては④が要件となると予想しています。
 どの歌唱合成装置を用いたかは本質的ではありませんが、PC-6001やPLG100-SGなどの音声合成の品質は③又は④の要件を満たすとは思えません。実務的には YAMAHA の VOCALOIDシリーズまたはそれと同等以上の音声品質を具備した製品に限定されると思います。

余談ですが、上記判断基準はチューリングテストに似ていると思ってしまいました。

チューリング・テスト (Turing test) とは、アラン・チューリングによって考案された、ある機械が知的かどうか(人工知能であるかどうか)を判定するためのテスト。チューリングテストを機械が意識しているか、機械が理解しているかの基準とする考えもある。

Wikipedia より

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涙にさよなら

次にご紹介する「涙にさよなら」は、初音ミクのキャラクターソングではなく、通常のJPOPです。曲、歌詞、そして画像も文句のつけようがなく、恐らくプロ又はセミプロの方が作られたのではないかと想像します。

ここまで自然な言葉遣いにするまで、どれだけのカット&トライをおこなったのでしょうか。また、「初音ミク」というキャラクターを離れて通常のJPOPに使用できるということが、この曲によって示されたとおもいます。

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Yahoo!の形態素解析

先日ご紹介した Yahoo!の日本語形態素解析WebサービスをPerlから叩いてみました。
サンプルプログラムはケーズメモさんのブログにアップされています。
Yahoo!の形態素解析を利用してみた by Perl
 殆ど完璧なサンプルで、モジュールをうまく活用して極めて短くシンプルに仕上がっています。デフォルト状態だとYAMLモジュールが無いことに起因するエラーが表示されるので、コマンドラインから ppm を起動して、install YAML を入力してください。
 あと、ソースコードは UTF-8 であることが前提となっています。うっかりS-JISで保存したら、解析結果が化け化けになってしまいました。ご注意ください。
 お約束の特許法2条1項 「発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものをいう。」を形態素解析した結果はこちらです。

---
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        surface: し
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        surface: た
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        reading: の
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        surface: の
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        reading: うち
        surface: うち
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        surface: 高度
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        reading: な
        surface: な
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        surface: もの
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        reading: いう
        surface: いう
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        reading: 。
        surface: 。
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xsi:schemaLocation: urn:yahoo:jp:jlp http://api.jlp.yahoo.co.jp/MAService/V1/parseResponse.xsd

 XMLファイルはこちらです。【「hatumei.xml」をダウンロード
 読み仮名の情報はそのまま入っているので使えそうです。文節情報は、品詞情報をもとに再構築する必要があるかと思います。
 これで chasen と辞書のインストールなしに形態素解析ができましたので、次は形態素解析した結果をもとに .VSQ ファイルを自動生成させたく思います。

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DTMマガジン増刊CV01初音ミク

備忘録のために購入予定商品を貼り。


今日、初音ミクのソフト本体を注文。DTMマガジン11月号添付のデモでは、プロジェクトを保存できないから、このままではプロジェクトファイル (.VSQ) の解析すらできないためです。

AMAZON で注文したら一割引なので、ちょっと特をした気分です。昨日ビックカメラのDTMコーナーで売られているのを見たが、定価販売でした。「ポイントカードがあるからいいでしょ」という趣旨かな。


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特許法29条1項柱書の試作品

特許法29条1項柱書を初音ミクに喋らせてみました。まだ試作品ですので、音階とピッチを含めて全部手で打っていますが、将来的には Perl スクリプトでVSQファイルを自動生成する予定です。
自然文の形態素解析は最初 Mecabを使おうかと思っていましたが、Yahooの形態素解析WEBサービスの方が楽そうです。

「特許法29条」をダウンロード

前回の試作品よりも少しだけ自然な喋りに近づけたのではないかと思います。備忘録として以下に喋りの技術を記載します。

◆「とっきょほう」の促音の「っ」について

促音の「っ」を直接に入力すると、有声子音で発音し、発音が強すぎて不自然になります。PHONETIC(発音記号)に "ts M" と表記されている末尾の M を削除すると、無声子音になり、自然な発音となります。

Hatuon_tsu
図1、無声子音の「っ」

◆アクセントについて
①基本的なアクセント
基本は2音階でおこないます。

②アクセントと単語と文脈の関連性
アクセントは単語のみでは決まらず、文頭か文中かでも相違するようです。例えば「とっきょ」ですが、文頭では「とっ/きょ」と音階を上げ、文中では「とっ\きょ」と音階を下げています。標準語の発音では、直前の音階に依存して、音階の上げ下げが決まるするのかもしれません。まだこの点では調査を要します。

Tokkyohou_top_4    

図2、文頭における「とっ/きょ」の発音

Tokkyo_middle

図3、文中における「とっ\きょ」の発音

③音階の自己調整
喋り始めの1文節と、それ以降の文節で微妙に音階を変えると人間っぽくなりました。人間も最初の一文節で音階の自己調節をおこない、最適な音階に再設定して、それ以降の文節を発音しているのではないかと思います。

◆ピッチについて
ピッチは、強調したい部分である名詞を4/32で、それ以外の代名詞、動詞、形容詞、副詞、助詞等を3/32としました。人間が文章を発音するときも同様に、重要と思う部分をゆっくりと、そうでない部分を早く発音していると考えたからです。
これにより重要キーワードを音でマーキング可能となるという副次的な効果が生まれるとおもいます。

◆ブレス音について
文章の区切りの部分である「、」と「。」の部分にブレス音(息継ぎ音)を入れました。人間の喋りを模倣し、自然に感じるようにするためです。
ブレス音の入力は、PHONETIC(発音記号)に、br1,br2,br3,br4,br5 いずれかを記載します。

Miku_breath

図4、初音ミクのブレス音

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新たな受験生たちへ

 いま、少しずつ短答の問題集などを処分し始めています。処分といっても捨てる訳ではなく、新たな受験生に譲るためです。
 自分が弁理士受験をしていたことをどこかで聞いたのか、会社の後輩のひとりが弁理士試験の勉強を始めたことを言い、参考書籍のアドバイスを求めてきたためです。いまLECの1年コースの入門講座が終わったところで、持っている書籍は青本、四法対照条文集、あとは「知的財産入門」という本だそうです。ちょうど自分の2年前の状態とよく似ています。論文に向けて代々木塾の新・論文サブノートを勧めると彼は怪訝な顔をしています。なんと、代々木塾の名前を知らないそうです。話を聞いてみると、まだ論文にまったく着手しておらず、短答過去問すらまったく解いていないようです。来年度の短答式筆記試験まで残り7ヶ月余りしかないというのに、ちょっとまずいです。
 とりあえず、今もっている本のリストを送付するのと同時に、できるだけ来年の短答だけでも突破できるように、いま持っている短答の問題集を送付することにしました。来年の短答さえ突破できれば、再来年の論文突破は充分に可能です。

 昨日は同僚の息子さんに弁理士を受験させたい旨の相談を受けたので、自分が弁理士受験の概要をつかむために使った「弁理士になる最短合格法」正林真之著をあげました。もう自分には必要ありませんが、まったく知識ゼロの状態から弁理士について知るためには良い本とおもいます。

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口述試験合格

無事に受かっていました。
口述の発表は和やかなものです。ほとんど落ちる人がいないせいだと思います。
皆、特許庁の掲示板をカメラ等で撮影していました。自分も携帯電話のカメラで受験番号を撮影したのですが、うまく保存できていませんでした。
ゼミ仲間の番号も確認できたのでメールを送信したら、「私の番号、XXXXXXXX は本当にあったんでしょうか・・・」との返事がきました。自分で自分の番号を確認してすら、なんだか信じられないのに、ましてやメールではなかなか実感が沸かないのでしょうね。

いまは12時を回っていますので、特許庁のHPから確認ができます。

平成19年度弁理士試験合格発表

何回、自分の番号を確認しても、なんだか実感が沸きません。とりあえずほっとしました。

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特許法2条1項の試作品

 やっと時間が取れたので、DTMマガジンの初音ミク体験版で「特許法の読み上げ」を試作してみました。用いた文章は特許法2条1項「発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」です。

「特許法2条1項」をダウンロード

 文節を発音で表現するのは割りと簡単で、文節の区切りに発音の区切りを入れればよいだけです。
 ちょっとした工夫ですが、「はつめい」ではなく「はつめー」と伸ばした方が自然に感じます。どのようなルールで直前の音を伸ばせばよいか考えて見ます。

 

しかし、アクセントは難しいですね。「君はどこの人なんだかはっきりしなさい。」という感じで、京阪のアクセントなんだか標準語のアクセントなんだか判らない感じになってしまいます。なんでも標準語のアクセントの方が単純明快で、3つのルールしか無いそうですので、その3つのルールと単語の関係をチェックしてみます。

次に掲げるのが構想メモです、形態素分析ツールを用いて日本語の自然文を品詞分解し、アクセントテーブルを介して、それぞれの発音、音階及び制御情報を付与してVSQファイルを作成したのちVOCALOID ENGINEで当該VSQファイルを読み込んで合成音声を出力し、アクセント付の読み上げ音声を得ることとします。
Miku_kousou

最終的には、テキスト画像スクロールの動画と同期させたのち、iPodに転送できればと思います。次のメモは「はちゅねみく」がネギで読み上げ部分を指し示している図です。
Miku_memo

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初音ミクと著作権について

初音ミクと著作権について書かれているサイトをご紹介します。

(1)初音ミク 著作権を根底から脅かす恐ろしい娘

(2)初音ミク」と著作権法

(3)ピリ辛著作権相談室:バーチャルアイドルに自作の歌を歌わせたいのですが

これらの意見を見て色々と考えさせられました。
ニコニコ動画にアップロードされている「初音ミクが歌うXXXXX」とは、果たして実演の固定物なのか。実演だとしたらその主体は誰なのか。実演家の権利は発生しているのか。初音ミクが既成曲を歌った場合には、誰の権利を侵害することになるのか、侵害の主体は誰なのか。
これらを法的に検討してみます。

◆初音ミクによる楽曲は実演の固定物なのか?

まず(1)と(2)のサイトで触れられている「歌唱権」ですが、著作権法には法定されておらず、産業界にて暗黙のうちに運用されている用語のようです。著作権法上、歌唱は2条1項3号「実演」で定義されている行為に包含されます。

著作権法

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。

著作権法上の「実演」は例示列挙されており、自然人が歌うことのみならず、その他の方法により演ずることを含むとされています。初音ミクが歌うことのみならず、ソフトウエアの「初音ミク」に対して音声および音階を入力する作業を実演の対象として考えるとよいかと思います。自分は、初音ミクが歌をWAVファイルに出力することが「歌う」に該当するかは判断できませんが、少なくとも初音ミクのピアノロール・エディタに音階、歌詞若しくはイフェクトを打ち込む作業は「その他の方法により演ずること」に含まれると解します。よって、初音ミクによる楽曲は実演の固定物であると判断します。
ただ、これは疑義あると思いますので、明確に法定されることが望ましいとおもいます。

なお、藤田咲さんが「初音ミク」の声の素材データを提供する行為は、50音を様々な音階で読み上げる事であると聞いております。この行為は「演劇的に歌い」の要件を満たさず、ここでいう実演には該当しないと介されます。

◆初音ミクの実演の主体は誰なのか?実演家の権利は発生しているのか?

歌唱の主体は実演家であり、次のように定義されています。

著作権法
第二条    この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。  

 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行なう者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。 

つまり、歌手がコンピュータによるプログラムであり、権利能力を有する自然人に該当しないとしても。そのコンピュータを用いて「その他実演を行う者」または「実演を指揮し、又は演出する者」が自然人若しくは法人であるならば、その者が実演家と解され、実演家に認められている以下の権利が発生していると解します。

①氏名表示権(著作権法90条の2)
②同一性保持権(著作権法90条の3)
③録音及び録画権(著作権法91条)
④放送権及び有線放送権(著作権法92条)
⑤送信可能化権(著作権法92条の2)
⑥放送のための固定(著作権法93条)
⑦放送のための固定物等による放送(著作権法94条)
⑧商業用レコードの二次利用(著作権法95条)
⑨譲渡権(著作権法95条の2)
⑩貸与権(著作権法95条の3)

なお、声優の藤田咲さんは初音ミクの声の素材データを提供したのみであり、「演劇的に歌う」(2条3項1号)の要件を満たしません。よって実演に該当しないために藤田咲さんは実演家ではないと判断されます。

◆初音ミクが既成曲を歌った場合、誰の権利を侵害することになるのか?侵害の主体は誰なのか?

著作権法22条に規定されている上演権又は演奏権を侵害すると判断します。ここで上演とは歌唱を含む概念です。すなわち、当該既成曲の作詞家および作曲家の権利侵害となります。侵害の主体は実演家で、すなわち初音ミクに既成曲を打ち込んだ者となると解されます。権原なく実演をおこなった為です。

もちろん、オリジナル曲を作成して初音ミクに歌わせた者は、その者が作詞家・作曲家かつ実演家となり、上演権と演奏権と実演家の権利を有しますので、第三者の権利侵害を構成しません。

第二十二条  著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。

◆法改正の予言
将来的には、著作権法2条1項3号は以下の下線部が追加される事になると判断します。平成14年度の特許法等の法改正で、プログラム等が物に含まれることになったのと趣旨が似ているように思いました。

著作権法

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するもの、若しくは歌唱合成装置による歌唱を入力する行為を含む)をいう。

余談ですが、「初音ミク・・・恐ろしい娘」という言葉を見て、ガラスの仮面の月影先生の台詞を思い出してしまいました。このキャッチコピーはアキバの店のPOPにも描かれていたそうです。

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102条(B)

米国特許法102条(B)は、パリ条約4条C(3)のケースでは、同4条Bに違反するのではないかと書いたのですが、MPEP§2133に次の記載を見つけました。

THE 1-YEAR GRACE PERIOD IS EXTENDED TO THE NEXT WORKING DAY IF IT WOULD OTHERWISE END ON A HOLIDAY OR WEEKEND

Publications, patents, public uses and sales must occur "more than one year prior to the date of application for patent in the United States" in order to bar a patent under 35 U.S.C. 102(b). However, applicant's own activity will not bar a patent if the 1-year grace period expires on a Saturday, Sunday, or Federal holiday and the application's U.S. filing date is the next succeeding business day. Ex parte Olah, 131 USPQ 41 (Bd. App. 1960). Despite changes to  37 CFR 1.6(a)(2) and 1.10 which require the PTO to accord a filing date to an application as of the date of deposit as "Express Mail" with the U.S. Postal Service in accordance with 37 CFR 1.10 (e.g., a Saturday filing date), the rule changes do not affect applicant"s concurrent right to defer the filing of an application until the next business day when the last day for "taking any action" falls on a Saturday, Sunday, or a Federal holiday (e.g., the last day of the 1-year grace period falls on a Saturday).

下線部を訳すと次のような意味です。

しかし、1年間のGRACE PERIODが土曜、月曜又は国民の祝日に満了し、特許出願の米国出願日が次の官庁の開庁日となる場合には、本条(102条(B))は適用しない。

流石に、米国特許法の初学者でも気づくパリ条約の抵触は、ちゃんと手当てしてあり抵触しないよう運用されていますね。しかし、条文に反映させずにMPEP(審査基準)で対処しているのが何ともアメリカンなアバウトさです。

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Patent Bar

 タイトルに記載した「Patent Bar」とは米国特許庁がおこなうPatent Agent 資格試験です。
 先週、受講した米国特許法セミナーの宿題が「Patent Barからの出題」ということで、ちょっとハードでした。出題された部分は弁理士試験の短答とほぼ同じ内容ですね。5択問題ということは共通していますが、出題傾向はちょっと違います。
 なかでも特に面白いと思ったのが第8問目でした。ちょっと概要を紹介します。
 「特許出願の請求の範囲は、要件が(1)から(5)から構成されています。しかし、拒絶査定により2年前に発行された先願特許公報には要件(1)から(4)までが記載されています。このとき審査官は法102条(B) (日本国特許法29条1項3号相当) で拒絶理由を通知しました。これに対する抗弁として最も適切なものを挙げてください。」
 自分は上記の問題は実務に沿っており面白いと思いました。日本国の弁理士試験でもこれに類する問題を出していただきたく思います。

 

以下に法102条(B)を引用します。自分自身の纏めを兼ねています。

A person shall be entitled to a patent unless
・・・・
(b) the invention was patented or described in a printed publication in this or a foreign country or in public use or on sale in this country, more than one year prior to the date of the application for patent in the United States,

 主文は29条1項柱書相当ですが、「産業上利用できる発明」「特許を受ける権利」の概念は記載されていません。
 (a)-(g)には、特許を受けることができない項目が列挙されており、29条1項各号に相当します。米国では先発明主義をとるため、特許を受けることができない要件が極めて複雑となっています。この中で、(b)項の要件が明確で利用性に富むため、実務上も重要なものです。以下直訳します。

(b)米国出願日の1年前以前に、
その発明が我国又は外国に於いて既に特許されているか、
または我国又は外国における刊行物に記載されているか、
または我国において使用又は譲渡されている場合。

 ここで言う「米国出願日」とは米国における現実の出願の日をいい、優先日のことではありません。 「米国出願の1年前以上」とは、あたかも日本に於ける新規性喪失例外(特30条)に相当するものと考えることもできます。いわゆる GRACE PERIOD です。
 最初の要件は日本国特許法39条1項に相当し、2番目の要件は29条1項3号に相当し、3番目の要件は同2号に相当します。
 先発明主義を採用する米国に於いては、新規性の要件は「発明日」を基準とする極めて複雑かつ法的安定性に欠ける条文ばかりですが、この102条(B)のみは「米国出願日」という動かしがたい基準を採用しています。よって、他社特許を無効化する際など、公知文献調査する日付の基準として「米国出願日の1年以上前」の基準が採用されています。

 余談ですが、パリ優先権が先の出願の日から1年以上経過しても有効である場合があります。以下条文が根拠となります。

パリ条約4条 C
(3)優先期間は、その末日が保護の請求される国において法定の休日又は所轄庁が出願を受理するために開いていない日に当たるときは、その日の後の最初の就業日まで延長される。

 よって、パリ条約4条C(3)に該当する場合で、かつ先の出願をおこなったパリ同盟国で1年以内に特許査定された場合には、米国特許出願は102条(B)を根拠に拒絶されます。よって、法102条(B)はパリ4条Bに違反すると解されます。
 まあ、国内特許出願のみ非公開の請求ができるという、パリ条約の内外人平等の原則を軽く踏みにじっている米国ですから、上記のような問題点など気にも留めていないのかもしれませんね。

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