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意匠法・答案構成

問題Ⅰ・秘密意匠が設けられている理由について
定義:出願人の請求により登録から一定期間その意匠を秘密にすることを請求できる制度。(14条)
趣旨:登録意匠(20条1項)は意匠公報で公開されることが原則(20条3項)、
∵権利範囲を公示し、第三者の侵害を未然防止するため。
意匠は物品の形態であり、公開により意匠権者の将来のデザイン動向を競合他社に把握され、発売前に商品形態が公開される不都合がある。しかし、出願しない場合には意匠法による保護なく、模倣を防止できない。
よって法は、出願人の請求により登録から一定期間その意匠を秘密にすることを請求できる秘密意匠制度を設けた。
但し、意匠の実体が公開されない事による第三者の不利益防止のため、権利行使に一定の制限あり。(37条3項、40条但書)

問題Ⅱについて
(1)意匠ハについて意匠登録をうけることができるかについて

1、結論
意匠ハは原則として意匠登録を受けることができない。
2、原則
意匠イは意匠ハの先願で、意匠ハは9条1項で拒絶。
意匠ロは意匠ハの先願で、意匠ハは9条1項で拒絶。
3、関連意匠の検討
意匠イと意匠ハは類似なので、意匠ハを関連意匠(10条1項)とすれば9条の拒絶は免れるが、意匠ロを先願に拒絶(9条1項)。
意匠ロと意匠ハは類似なので、意匠ハを関連意匠(10条1項)とすれば9条の拒絶は免れるが、意匠イを先願に拒絶(9条1項)。
意匠イ・ロ・ハ全ては関連意匠出願できない。∵意匠イと意匠ロは非類似で、10条3項により意匠ロが拒絶。
4、意匠ハが意匠登録を受けられる場合
・意匠イと意匠ロ両方の取下、却下、放棄、拒絶確定(9条3項)∵先願の地位の喪失。
・意匠イの取下、却下、放棄、拒絶確定(9条3項)かつ、意匠ロと意匠ハの関連意匠(10条1項)
・意匠ロの取下、却下、放棄、拒絶確定(9条3項)かつ、意匠イと意匠ハの関連意匠(10条1項)

問題(2-1)
・丁は、意匠ロの実施権原を有さずに業として実施(2条3項)
→形式的には丙の意匠ロの侵害(23条)
・しかし、丁は意匠イの通常実施権者(28条)で、
乙は、意匠イ及び意匠ニを実施可能(26条2項反対解釈)∵先願優位の原則。
よって、意匠イの通常実施権者(28条)の丁は同様に意匠ニを実施する権限を有するため、侵害とならない。

問題(2-2)
・形式的には存続期間の満了により、意匠イに係る意匠権は消滅、
それに伴い意匠イの通常実施権も消滅。∵通常実施権は意匠権にもとづく権利。
・しかし、意匠の存続期間の満了により32条の通常実施権が発生する場合があり、
→丙が登録(準特99条1項)した通常実施権(28条)を有する場合。∵公平の観点
丙の実施は原権利の範囲内で(32条1項)、実施料の支払いを要する。(32条3項)

以上

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