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弁理士試験:平成18年第7問

今度は部分意匠の問題です。これは細かくイヤラシイ問題です。

〔7〕意匠登録を受けることができる意匠に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
1 著作物である写真を印刷したカレンダーについて、意匠に係る物品を「カレンダー」として、その写真部分に係る部分意匠の意匠登録を受けることができる場合はない。
2 携帯電話機の液晶表示部に表示される初期画面の図形は、意匠に係る物品を「携帯電話機」として、その図形に係る部分意匠の意匠登録を受けることができる場合がある。
3 登録商標と同一の図形を一部に表した包装紙の意匠について、意匠登録を受けることができる場合はない。
4 外観からは見えないスキーの内部構造について、販売時にカタログで内部構造を視覚的に認識できるように図示することを予定しているときは、意匠に係る物品を「スキー」として、その内部構造の形状に係る部分意匠の意匠登録を受けることができる場合がある。
5 比重と色の異なる2 種類の液体を注ぎ重ねて二層状にしたカクテルについて、意匠登録を受けることができる場合がある。

まずは、部分意匠の成立要件を以下記載します。(意匠法審査基準71.4.1.1)
(1)物品と認められるものであること。
(2)物品自体の形態であること。
(3)視覚に訴えるものであること。
(4)視覚を通じて美感を起こさせるものであること。
(5)一定の範囲を占める部分であること。
(6)他の意匠と対比する際に対比の対象となり得る部分であること。
これに適合するかを考えます。

1は×です。「著作物である写真」であるから、すなわち意匠の要件を満たさないかのようにも思われますが、カレンダーであるため物品性を満たします。写真部分は一定の範囲を占め、かつ他の意匠の対比の際に対比の対象となりえる要件も満たします。よって、写真部分の形状・模様・色彩が美感を有すならば意匠登録を受けることができます。
2は○です。「液晶表示部に表示される初期画面の図形」は平成18年試験当時の液晶表示等に関するガイドラインに示された部分意匠の要件そのものだからです。現在は2条1項括弧書きで液晶表示部に関する保護が明記されています。たぶん今年も出題されるのではないかとおもいます。
3は×です。5条2号の登録商標との抵触にあたるように一見思えます。しかし、意匠登録出願の出願人本人の業務に係る物品ならば、他人の業務との混同は生じず、よって意匠登録を受けることができます。

第五条  次に掲げる意匠については、第三条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。

 他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠

4は×です。視覚性を有さないからです、カタログに内部構造を掲載することは視覚性には含まれないと解されます。よって3条1項柱書の要件を満たしません。
5は×です。定型性を有さず、よって3条1項柱書の要件を満たしません。

意匠の成立要件は、物品性・形態性・視覚性・美感性(「ぶつけしび」と覚えます)であり、意匠法上の物品とは有体性・定型性・視覚性・取引性・工業性(「ゆてしとこ」と覚えます)を有する事であります。すなわち、定型性を有さないカクテルの液体は意匠法上の物品に該当せず、よって意匠を構成しません。

特許庁ホームページの「液晶表示等に関するガイドライン」を見ていたならば、この枝は「2」が決め枝になり、1で悩まずとも解けましたね。意匠法は審査基準が生死を決めるんだと思いました。

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